台風でボートも飛行機も欠航となり、ラッキーな事に旦那くんの実家という「帰る所」があったため、もう一泊BayBayの家に泊まる事になった。やっと帰った客人がまた戻って来るなんて、迷惑だろうなぁと思いきや、「きゃぁ~まだ一緒に居られる!」と子供たちには大歓迎された。断水はその後も続いたが、不思議とレストランでは調理ができるようで、食器は洗えないので、紙皿をつかっての夕飯。エーベリンは学校から帰ってきたらまだグランマキミが居る!ということで、喜んでくれた。
帰り際に、自分達が使っていたものだが、ジーエーにはバックパック、アーリンにはまだ一度も着ていないワンピース、アーキムにはキャップとT-shirt、そしてエーベリンには私が身につけていた、安物のネックレスをあげた。
今まで何もしてあげていないし、本当に今回初めて会った、昨日までは知らない人だった私をこんなに素直に受け入れてくれる、旦那くんの親戚。いままで義理母しか知らなかったので、同じような人種 (笑)だと思い、拒絶しつづけていた人たち。ダメなのは、義理母だけだった(爆笑)、強いて言えば、旦那くんの従姉のジジもちょっと苦手だけど。
紙皿の夕飯を終え、夜はカラオケ。アラとグレンの家にはカラオケセットが2台ある。1台はレストラン、もう一台は2階のダイニングエリア。

14歳のジーエーは、ギターも上手いし、歌も上手。変声期は多分過ぎたようだが、まだ高音になると苦しそう(笑)。将来は役者になりたいんだって。学校では気に入った女の子がいるけれど、アタックしてもかわされているとの事(笑)。でも自分は気がないが、ジーエーに猛烈にアタックしてくる女の子がいるんだそう。彼女からの手紙やプレゼントを見せてくれた。もうね、本当に素直なのよ、この子達。
エーベリンも歌が上手い。7歳だけど、大人の歌を歌う(笑)。ママのアーリンもめっちゃ上手い。今回は喉のコンディションのため、ギター演奏のみだったが、アラがビデオを見せてくれた。ハスキーボイスで、歌の大会とかにも出場しているという。アーキムが一番シャイで、彼女の歌声は聞く事が出来なかったが、エーベリンが歌っているのをめっちゃ暖かい目で見守っている。彼女は姪っ子のエーベリンを物凄く大事に可愛がっている。ずっと一緒に居る。
ここの姉弟は本当に仲が良い。ジーエーはアーキムの試験勉強の手伝いをして、問題を読み上げ、アーキムがそれに答えていたり、みんなでアイランドホッピングツアーに行ったときは、ジーエーはアーリンの専属カメラマンのように、写真を撮ってあげていたり。
ジーエーが撮ったアーリンの写真、プロ並みじゃん?でもって撮影を指示しているアーリン、なんだかすごくない?


私はこれよ。

姉弟だけじゃなく、みんな助け合いながら生活している。
フィリピン人は音楽的に多才である。ギターやウクレレは当然のように弾ける。歌もみなさんお上手。そしてカラオケ大好き!あっ、他にもフィリピン人は写真が好き。だから写真を撮るのもプロみたいに上手に撮る。ボロカイ島に行った時のツアーの女の子も、グラスボートのお兄さんもみんなプロみたいに、それも私達の携帯で写真を撮ってくれる。SNSに写真やビデオを載せるのも好きみたいだ。
一晩経って台風はどうやらBayBay、セブ島を抜けたようである。
翌日は学校は台風の影響で休校。私達の空港までの送迎にアラとグレン一家全員参加!飛行場のあるのはTacloban。BayBayからは車で3時間くらいかかる。
すると後ろの席で、エーベリンとアラとアーキムが何か話している。どうしたのかな?と振り返ると、アラが「エーベリンがネックレスをして学校に行って、何かの加減で引っ張ったらチェーンが切れちゃったんだって」という。そしてエーベリンは今にも泣きそうな顔をしているではないか。もしかしたら、昨日は(壊れちゃった・・・どうしよう)と誰にも言えずに、この気持ちをかかえこんでいたのだろう。安物だったのに、素直な少女にこんなに悲しい思いをさせてしまって、私はちょっと胸が痛かった。
本当に安物のネックレスだったのだが、たまたまもう一つ身に着けていたので、それをエーベリンにあげた。エーベリンは半べその顔をクチャっとさせて喜んでくれた。
実は今回つけていたアクセサリー類は、そんなに価値のあるものではないのである。というのもセブ島では観光客を狙ったスリやひったくりがあるという事が、フィリピン旅行の為の予習をしていると結構でていたからである。狙われないためには、金目の物は身につけない!これが鉄則である。
そうそう、私がアイダホに居た時に、義理母の友達が募っている「Filipino and Friends 」グループがあった。そのメンバーのジニーがフィリピンに帰った時に、いきなり金のネックレスを捕まれ盗まれたというのだ。そして、滞在中に開かれた家族、親戚一同の夕食会の中に、なんとそのネックレスを盗んだ男がいたという、弟の友達だったというではないか。なんという偶然!その男は弟に「姉ちゃんのネックレスひったくんじゃねぇ」と怒られ、ネックレスは無事に帰って来たということだが・・・
昨日ボートが予定通りに出航していたら、エーベリンはネックレスが壊れたまま悲しい気持ちでいたのかもしれない、そして、予定より1日多く、アラとグレン、アーリン、アーキム、ジーエー、エーベリンと過ごせた事、そう思うとこれは台風からのプレゼントだったのかもな、と思えてしまう。
この時は彼らの生活を脅かす程の台風がこの島を直撃するとは思ってもいなかった・・・